昔昔のある夏休みの思い出

かなちゃんの夏休みをの宿題の昆虫採集を手伝っていて、昔昔のある夏休みを思いだしました。


それは私が高校三年、第四子、末っ子、長男の弟が小四の夏休み。
毎月定期購読していた雑誌の付録に、昆虫採集に使う、何かの薬(多分殺虫と防腐を兼ねた薬)と注射針がついてきたのをきっかけに、弟は、同じ本をとっている、幼稚園来の親友と、今でいう自由研究として蝶の採集をすることに決め、二人で蝶採集に出かけていました。
ところが友達と蝶採集に出かける度に弟が泣きながら帰ってきて、母に、友達に自分が先に見つけた蝶を横取りされた、自分が取った新しい種類の蝶を強引に既に持っている蝶と交換させられたなどとといつまでもぐずぐずめそめえ訴えていました。
その泣き声があまりに煩いし、弟の悔しさもわかるので、ではおねぇちゃんが友達に取られた蝶を採ってやると、二人で家の近くの、動物園の裏手の、往時はまだ原生林だった所に行きました。
友達に横取りされた蝶を採集して、友達がまだ持っていない蝶をいくつか採ったら身を引くつもりだったのに、なぜだかそれ以降も私は弟以上に蝶の採集にのめりこみました。
今思うによほど受験勉強がいやだったのでしょう。
弟は友達と連れだって採集に行くことをやめ、私とふたりで連日蝶の採集に出かけました。
はっきりとは覚えていませんが、お昼ご飯時を除いて、一日中行っていたように思います。


蝶の標本作りに必要な物が出てくる度にバスで20分ぐらいのデパートに行って、昆虫網、図鑑、展翅針、展翅版、虫ピン、木の展示箱等々大人の蒐集家が使うような立派な道具を買ってきました。(費用は親から出ていたのでしょうか。)


図鑑で調べた食草や無理に出した尿(蝶は尿に集る)の前で待機して蝶が集まってくるのを待ち、狙った蝶をどこまでも追いかけ、片っ端から集めました。
ついには図鑑に載っていた、日本(当時葉沖縄はまだ日本に復帰していませんでした。)で採れる蝶はオオムラサキを除いて全部採集。


手伝ったというか私が作ったも同然なその蝶の標本は市の夏休み作品展でとてもいい賞を受賞し、後に請われて小学校に寄贈しました。


私は見事一浪する羽目になりましたが、そのことは今でも全く後悔はありません。
あの夏休みを蝶の採集に費やさなくても結果に変わりがなかったと思うので。