一安心

今月の半ばだったでしょか、母から、「あたしゃ〜、ここにもうおりきらん(いることができない=不可能)」とか「もう死んだ方がよか」とかという泣き言を携帯で言ってきました。
母がそう思う理由を切々と訴えるのを、私は黙って聞く他なす術もなく、「私は何もできん。○○子さん(弟嫁)にそうゆうてみて。」とやっと答えました。
母の返事は「もうゆうた。」でした。「そうね。」と言ったまま、私が黙っているものだから母は「もうよか」と電話を切りました。
弟お嫁さんに言っても駄目だから長女の私に言えばどうにかなると思ってかけた電話だったのかもしれませんが、私は非力でした。
母が何年かお世話になっていた老健センターから他に移るように何度も催促され始め時から、弟お嫁さんは2、3か所の候補施設を探してくれたのですが、いずれも何十人という順番待ちだったので申し込みをしたうえで、老健センターにいついつまで出るようにとはっきり言い渡されたときに仕方なく入ったのが、「ここ」の施設でした。
「ここ」は空きがたくさんあってすぐ入れたのです。
「ここ」に空きがあったのは、きっと新しくできたばかりの施設、費用が高いという理由だけではなかったのでしょう。
私はその施設に今までに2回ほど母を見舞に行きました。行く度ごとにその施設がいつも入居者募集をしている理由がだんだんわかってきました。
人権を無視した介護、私にはこういうところで人生を終わるのは絶対にいやだと思える介護しかなされていないと思いました。



一昨日、母はようやく順番が巡ってきて特別老人ホームに移りました。(ホームの都合で引っ越しの日が急に決まったので私たち娘は誰も手伝いに行けませんでした。
弟お嫁さんのメールによると母は新しい施設が気に入った様子だとか。
昨日見舞いに行った下の妹の報告では、看護士の教育が行き届ていて母の持てる力を引き出しながら上手に動かしている、少人数のグループ介護で家族的、大らかでよい施設とのこと。
妹は「ここ」はひどかった、ナースコールをわざと母の手が届かないところにおいてあったそうよ、投書してやろうかと思っていると怒っていました。
ともかく母がいいところに移れて幸いでした。弟お嫁さんに心底から感謝しています。
これで母が無事来年1月の92歳の誕生日が迎えられる可能性が大きくなりました。